開発episode:6 今治生まれの白いタオル

四国 今治から依頼が来た。ジャパンブランドの仕事。
今治
日本のタオル産地今治に、10年以上前に行ったことがある。タオルと造船の町だ。
タオルの流通トップのメーカー問屋が中国に工場を作ってしまい、今治に流れていた発注が激減し、大変な状態であるという噂は聞いていた。
悩んでも仕方ない。まずは現地に乗り込もう。各メーカーを回り情報収集をする中で何が出来るか考えるべきだと判断した。



タオルのデザインや企画を長いこと行っている友人(鵜飼さん)に連絡を取り、プロジェクトに加わってもらい、同行取材をお願いした。
十数社、回っているうちに、理解してきた。自力で新しい販路を開拓し、地場の中でゆるぎない販売力を構築している企業。いいものは持っているが、自社での販売でなく問屋任せの下請け的動きで伸び悩んでいる企業。新しい販路を切り開こうともがいている企業。細番手(細い糸)が得意な企業。太番手(太い糸)が得意な企業。さまざまな顔が見えてきました。
しかし、所詮は、タオル・・・・考えられることは、すべて行動されつくし、商品化され、残されているものはキャラクターだったり、有名ブランドのライセンス事業だったり・・・・いったい何が出来るのだろう。
デザイナーは、宮城壮太郎さん・ひびのこづえさん・鵜飼麻方さん。素晴らしい人ばかりに集まっていただけた。
各メーカーとのブランディングは、それぞれのデザイナーが、企業にあった新製品開発に動き出した。
しかし、ジャパンブランドとして、今治を世界に知ってもらいたい。産地としての今治の知名度を高めること。今治のタオルが丁寧に作られ、優れていることを伝えていくことも重要である。各企業との開発は、優れたデザイナーが心配なく進めている。
今治タオル私は、その時考えた。各メーカーから自慢のタオルを提出してもらおう。すべて柄・色を除いた白いタオルで提出してもらい、社名をふせた状態で、デザイナーを含めたプロジェクトのメンバー全員で使用テストを行い、ユーザーとして本当に心地よいタオルを探してみよう!
思ったことはすぐに行動に出てしまう私は、すぐに産地に依頼をはじめた。10種類のタオルが集まった。
まずは、全部並べて吸収力のテストを行った、ストップウォッチを片手にスポイトで水を落とす。スーッと吸い込むもの、数秒水玉が残るもの。さまざまであった。ドライで触るとふんわりして気持ち良いのに水をまったく吸わないタオル。吸っても表面にビチョビチョ感がしてしまうもの・・・・・一日何度も風呂に入り、体半分ずつを違うタオルで拭いてみるなど・・・体がふやけてしまう、日々が続いた。



ボリュームが凄過ぎてかえって邪魔なタオル。軽いのだが体ひとつ拭ききるには心もとないもの・・・・気が付けば、自然とお気に入りへ手が伸びる。
どのタオルを選ぶか、私の中で決まりかけて来たとき、メーカー名を確認してみた。
もしかしてあのタオルなのか?
実は、気になっていたメーカーがあったのだ。
現地取材で初めてうかがった時に、ある工場で2時間近くウンチクを聞かされ、私はすっかりうさんくさく感じてしまったのだ。帰る時に、工場の方がお土産のタオルをくれたのだが、「ただで貰うと文句が言えないから」と、私はお金を払った。
10種類の中から私が選んだのは、その工場のものだった。
ウンチク通り、糸から精錬から気を使い時間をかけて、当たり前のように工程一つ一つを丁寧に仕上げられていたのであった。
たかがタオル、されどタオル・・・使いはじめから、洗濯をしなくとも吸水と肌触り、そして程よいボリューム感。久々にタオルに愛と感動を覚えたのであった。
メンバーの多くが、やはりそのタオルを指名していた。
「よし!この白いタオルを今治の代表選手に抜擢しよう。」
今治タオル誰が使っても、されどタオル。満足し改めてタオルを見直せる存在であると決定した。
つかった人の感想です。
「タオルが好き。」
私は今治生まれです。

何度も何度も悩んだ結果、コピーも不必要なものをすべて省き、すきっとしたものが出来上がった。

タオルは本来、棚に裸で並べてあるが、誰が触れたものかわからない状態が嫌で、一度洗濯をしてから使う習慣があるが、使いはじめからの感動に気づいてほしいため、タオル初のパッケージに入ったタオルとした。工場内で完全密封し、お客様が封を開けたときに始めてバージンから開放される。洗濯せずとも安心して工場直送の旬なモノを味わっていただこうと・・・・・
その後、佐藤可士和さんが、メンバーに加わり、素晴らしいロゴを作っていただいた。
今治タオルの第2創世記のスタートであった。
imabari(今治タオル)
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