開発episode:こち(kochi)シリーズ

話は数年前にさかのぼる。
山梨の紙製品の大手、マルアイという会社が存在する。
小さくは、世の中に出回っているあの薄手の封筒から始まり、大きな方眼用紙までも多彩に制作している、紙製品の企業である。
ご祝儀袋や不祝儀袋も、デパートからホームセンター・文房具・コンビニエンスまでありとあらゆる流通に導入されている。それは営業力から製造力まで優れた企業であった。


「一緒に何かが出来ないでしょうか?」という言葉から、
すぐに工場に乗り込んだが、すべての製品から開発から何の問題もない会社であった。
しかし、ご祝儀袋を手に取ると、きらびやかで何か自分自身が使用したくなるような所作を感じるような品というか、そういったものが感じられない。
不祝儀といえば、いつもあわてて、コンビニに探しに行って・・・・「こんなものしかないけれど・・・し・か・た・が・・・ないか・・」
日本の心の文化ともいえる「贈る心」それが商業的なビジネスに追いやられ、荒んでいくのが感じられたのであった。
「おめでとう」「ありがとう」そして、言葉にできない「さようなら。」
日本の大切な文化を、しっくりと大人の表現で時代を超えて守っていきたい。
そんな製品が今の売り場には無さ過ぎるので無いのだろうか?
そんなことをマルアイのスタッフの方やトップと話してきたが、実感の無い時代にはピンときていただけなかったようだ。
数年たって、デザインタイドのミッドタウンで開発の責任者とばったり出会った。
先方も私に気がつき「お会いしたかったんです。」今度、是非前回のお話を進めたいのですが・・・・
私の思いは時間と共に実り、実を結んでいったのであった。
この心を一緒に共有してプロジェクトを進められるのは、
アサノデザインスタジオの浅野泰弘さんとそのスタッフでは。すぐに受話器を取ったのであった。
「私にも実は考えがあるのです。喜んでやらせてください。」と即答の返事をいただくことができた。
マルアイのスタッフの方たちと、考え方のベクトルを合わせながら、心を込め、日本の作法を学びながらプロジェクトは進んでいった。
こち マルアイ
昔ながらの奉書紙・檀紙・を基調に紙の色、産地などを丁寧に調べ上げ、紙にこだわるだけこだわり、気取らないけれど上質な品を漂わせる日本の贈るこころを「何気ないけれど、本当に使いたい。」とこころから感じる装いを丁寧に表現しました。
こち マルアイ
今の時代を表現するかのように紙質にこだわった中に、エンボスだけで日本の古くからの柄を表現したぽち袋・万円袋。透かし柄の松・竹・梅の表現。
最後に水引で世界の方に伝わる「贈る」を楽しむ、
グリーティングカードを贈るように、
感謝の気持ちを遊び心で表現する、新しいアサノデザイン。

こち マルアイ

日本の古くからのこころを大切に、「今」の時代に上質に広がるシリーズが作れました。
ある日、日経デザインの下川編集長と食事をした際に「名児耶さん、新しい日経デザインはもう見ましたか?まだでしたら、出来立てがあるのでご覧ください。」とかばんを広げて手渡していただいたその最新号には、表紙から裏表紙にわたりLOVEの水引がついたこちの金封が掲載されていた。


なんともはや!
雑誌の表紙に、さらにそのまま続いた裏表紙までに使われていたとは・・・・
ここまで掲載すること聞いてましたっけ・・・
と思いつつも、うれしさと感動で満足している自分がそこにいた。

kochi(こち)
こちシリーズはこちら >>

 
マルアイ こち
住所:山梨県西八代郡市川三郷町市川大門2603
http://maruai.co.jp/kochi/ [外部リンク]