デザイナーinterview:GENTA DESIGNさん

 

今回はGENTA DESIGN(ゲンタデザイン)の金山元太さん、金山千恵さんをご紹介します。

 
GENTA DESIGNさんは、生活用品から計測機器、パッケージなどにいたる様々なデザインをされています。プラスディーのポップアップスリッパとフロシキバッグをデザインしてくださいました。
 
 
フロシキバッグは、国際的にも意義のあるドイツのiFデザインアワード2011を受賞しました。
昨年は東京デザイナーズウィークでも新しいデザインを発表され、
幅広く勢力的な活動をされています。

 

■ デザインされた商品について、思いついたきっかけやコンセプトなどをお聞かせください。

 

KONCENT スタッフ(以下K):まずはポップアップスリッパについてお聞かせください。
 
フロシキバッグ1を作ったきっかけから2へのブラッシュアップについてなど。

金山元太さん:ポップアップスリッパは、EVAという非常に軽くて柔軟な素材で何か製品を開発できないかというのがスタートでした。実はポップアップスリッパの製造メーカーさんにアイデアの原型となるビーチサンダルがあったのですが、それを携帯できる室内用のスリッパにリデザインしました。表面にメッシュ素材を貼って、さらっとした履き心地に。底面同士を合わせて金具で留められるようにしました。

清潔に持ち運びができます。
K:インスピレーションのもとは、工場さんにあったのですね。
それでは、フロシキバッグはどのようなきっかけだったのですか?
 
 
金山千恵さん:ある地方では法事などの集まりになると決まって、
かなり大きな仕出弁当が用意されるそうです。
その弁当を持ち運ぶバッグを提案してほしいという依頼が始まりでした。
 
従来の風呂敷の良さをいかしながら新しく便利に、加えてファッショナブルにと考えました。
 
フロシキとバッグのいいとこ取り!がコンセプトです。
試作してみると、弁当を運ぶだけではもったいない、もっとこの価値観を広げてみるべきだという思いになり、初代フロシキバッグを仕上げました。
 
 
K:用途から始まったのですね。
初代フロシキバッグから昨年発表されたフロシキバッグ2へのブラッシュアップは、
どのようなところに注力されましたか?

 


金山千恵さん:フロシキバッグ2では初代よりさらにデザインに柔軟性をもたせたつもりです。
極力シンプルな作りにすることは共通したポイントであり、苦労したところです。

 
K:なるほど。用途や持ち方も広がって、たしかに柔軟性という気がします。
フロシキバッグ2は持ち手の部分が特徴的ですよね。
初代と比べて柔らかく、てを入れる部分が大きくなったので、肩や腕にもかけられて便利ですね。
ポケットが増えたり、サイズも3種類になったりと、使い方によって選べるのが嬉しいですね。
 
 

 

 
 

(右の写真は、作業中の金山千恵さんです。

ご自身で何度もモックアップを作り、
サイズや使用感の検証をしてくださいました。)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

■お二人がデザインに興味を持たれたきっかけは?


金山元太さん:高校生の頃はカーデザイナーになりたかったのですが、その当時にカーグラフィックという雑誌に連載されていたイタリア在住のデザイナーの細江勲夫さんのコラムを
読んで、プロダクトデザインの奥の深さを知ってそういう職種に就きたい思いました。
その後、細江さん本人にお会いする機会があって、そのことを伝えたらすごく喜んでいただけました。
 
金山千恵さん:大学では映像学科を専攻していたのですが、専攻の勉強よりも演劇やアート、建築、デザインが楽しそうに思えて、時間があるとしょっちゅうそれらを観に出かけていました。
好きだったのは具体美術やフルクサスそれからバウハウスも。
デザインにグッと引き寄せられたのは今思うとバウハウスを知ってからなんじゃないかな。
K:お二人はそれぞれ別の経緯を経てプロダクトデザインを選ばれたのですね。
お二人のデザインの柔軟な発想や造形のおもしろさは、バックグラウンドが違うお二人の感性がバランスよく作用しているのでしょうね。
 

       

■ 最近凝っていることはなんですか?

金山元太さん:古い日本の歌謡曲のレコードやCDの収集でしょうか。
 
金山千恵さん:radikoがないと生きてゆけません。
パソコンで聞くラジオのradikoです。
都心に住んでいると建物の影響でラジオの電波が受信しにくくて。radikoだとクリアに入って快適です。私、生粋のラジオっ子なんです。
 
K:音楽もラジオも作業中や仕事中につい流したくなりますよね。
 
 

 

■ 自分を一言で表すと?

金山元太さん:『ほげー。』いつもそんな感じなので。

実はまわりの人に油断させている?

K:この質問初、擬音語によるご回答をいただきました。笑

打ち合わせや展示会場でお会いする時はいつもシャキッとしていらっしゃいますが、
KONCENTスタッフが知らない一面かもしれません!
 
金山千恵さん:『欲張り。』物を溜込みやすいです。
昨今の断捨離ブームを機に猛省中です。
 
K:断捨離ですか。耳の痛い言葉です。笑
千恵さんを見習って私も猛省します。
 
 

■ 休日の過ごし方は?お気に入りの場所などはありますか?

GENTA DES
IGN:今、住んでいる所が海とか河に囲まれた街で、
隅田川越しに東京タワーとかが見える河沿いの遊歩道があります。
都心には珍しい空の広い場所です。
そこで朝はストレッチやジョギングをしたり、夜は夜景とかを見てリフレッシュしたりしています。
 

 
 
K:空が広くて東京タワーが見える川沿いの遊歩道が近くにあるなんて、好立地ですね!
散歩が楽しくなりそうですね。
 
 

■ 尊敬するデザイナーやアーティストはいますか?

金山元太さん:すぐに思いつきませんが、アルヴァロ・シザの建築や空間構成は好きです。

K:ベネツィアビエンナーレで金獅子賞を受賞された著名な方ですよね。

元太さんの造形の感性はきっと建築物などへの興味からもくるものなのでしょうね。
 
金山千恵さん:タモリさん。知性と思いやりを兼ね備えたアーティスト!だと思います。
 
K:タモリさんって、たしかにすごいですよね!
タモリさんほど毎日見ていても飽きない人なんて、なかなかいません。
 
 
 

■ 今後の展開について教えてください。

GENTA DESIGN:現在は生活用品などのプロダクトデザインを中心に、食品のパッケージデザインから計測機器などのデザインまで幅広く取り組んでいます。今までに手がけた仕事は表面的な造形を整えるだけのデザインではなく、デザイン自体が製品の機能やコンセプトに直結しているものが多かったように思います。時代の要求に答えた斬新さと高いユーザビリティの両立、さらにロングセラー商品の実現という高いハードルを目指して、一つ一つの仕事を大切に取り組んでいきたいと思っています。

…といっても肩肘はらずに楽しみながらデザインして、さらにデザインされた製品が多くの方々に楽しんで使っていただければと思います。
実はエモーショナルな部分がデザインには一番大切だとも思うので。
 
 
GENTA DESIGNさん、どうもありがとうございました。
次に発表されるデザインも楽しみです。
 

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