今回ご紹介するのは、PITACORO(ピタコロ)のデザイナー 渡辺仙一郎さんです。
それは2009年のデザインウェーブ富山というコンペの締め切り2週間前のことで、コンペのテーマ「カラフルなグッズ」が、色の原料である顔料[wiki]と道具の原点である石ころとがつながり、従来のマグネットにはなかった情緒性が、色彩を表す形に集約されました。
「これならいける!」と手応えを感じコンペに応募したところグランプリを受賞し、そのことがきっかけとなりこの製品が誕生しました。
KONCENTスタッフ(以下K):なるほどー。
絵を描く道具としての顔料と、太古の昔に人が初めて使った道具の石ころがつながってっということだったんですね。
シンプルでコロコロしていてかわいいマグネットですが、発想は深いところから来ているのですね。
一見、幾何学的な形をしている印象のピタコロですが、見る角度によって違う形に見えるところがまさに石ころっぽいです!
■ KONCENTショップで印象に残っているものがあれば教えてください。
渡辺さん:BEWとishi koroです。どちらも自然物がモチーフなのでそそられます。
K:自然のモチーフから発想を得ているところがピタコロともつながりますね。
■ デザインに興味を持ったきっかけは?
渡辺さん:子供の頃、両親が共働きで保育園ではだいたい居残り組だったため、待っている時間に粘土やブロックと格闘していたのが、創作活動の始まりです。また、祖父を初め、親戚に画家や伝統職人の叔父がいるため、常にクリエイティブな環境が近くにありました。私自身も大学時代はアーティストを志していました。本格的にアートではなくデザインの勉強をしたくなったのは、大学卒業後、インハウスのディスプレーデザイナーを経て、芸大の助手をしていたころです。所属していた研究室がプロダクト系で、そこでプロダクトデザインと出会い、初めて魅力を知りました。そのときの教授の影響を強く受けたことが、今、デザインをしている大きなきっかけとなっています。
K:大学時代はアーティスト志望だったんですね。身近に画家さんや伝統工芸の職人さんがいらっしゃるなんてうらやましい環境ですね。
■ 最近凝っていることはなんですか?
渡辺さん:料理でしょうか。
K:おお~!おいしそうなパエリヤですね!!
手間ひまをおしまずおいしいものを作って食べるのってだいじですよね。
なんといっても元気になりますから。
■ 自分を一言で表すと?
渡辺さん:天災です。「天」は天然のテンで、「災」は災難のサイです。
自分の天然なところが痛いです。
K:天災とはなかなか出てこないですよ。笑
でも、天然は周りの空気を和ませますから、貴重な存在ですよ!
■ 休日の過ごし方は?お気に入りの場所などはありますか?
渡辺さん:書店へ行ったり、CDを試聴したり、美味しいランチを食べたりして、街を散策しています。最近小さなCD店が目に見えて減り残念です。相変わらずアナログな人間なもので、じっとイスに座りネットで楽曲の購入なんてほとんどいたしません。どうやら街を徘徊し、取り巻く環境の変化を肌で感じることが好きみたいです。
K:本に音楽に料理にお散歩。多趣味なんですね。他にはどんなことがお好きですか?
渡辺さん:長期休暇がとれるときは、海外旅行でしょうか。最近旅行していないのでそろそろ体が欲しています。
K:きれいな景色ですね~。写真はスペインのアビラだそうです。
■ 尊敬するデザイナーやアーティストはいますか?
渡辺さん:アンディー・ゴールズワージーさんです。土、石、氷、枝、植物など周囲の自然環境の中で見つけた自然物を素材として使用し、場の特異性を活かした彫刻やランドアートを制作している方です。自然物の特徴を上手に引き出し、オブジェクトと環境とをグラフィカルに共鳴させているところが絶妙です。
K:分野はちがいますが、渡辺さんのインスピレーションのもとになっている自然と、アンディー・ゴールズワージーさんの作品の世界は通じるものがあるのでしょうね。
■ 今後の展開について教えてください。
渡辺さん:インテリアエレメントである家具や生活雑貨と、外界(自然界)とをシームレスに繋ぐことを目的としたナチュラル・エレメント・シリーズを展開していきたいです。
K:次はどんなデザインを発表されるのか、今後の活動も楽しみですね。