今回は「デザインの力で、障がい者のものづくりを応援し、ものを通じて、つくる人とつかう人をつなぐプロジェクト」
<equalto>(イクォルト) の「Gyutto/磁器の傘ホルダー」をデザインした澤田慎治さんです。
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澤田さんは1970年京都生まれ。京都工芸繊維大学大学院修了。
デザイン事務所、島根県産業技術センター勤務を経て、現在名城大学にてデザインに関する講義を担当しています。
Gyuttoはequalto award2014で入賞し、静岡県にあるNPO法人トータルケアセンター(グレース工房)で製造をしています。
ご自身がデザインした商品について、
思いついたきっかけやコンセプトなどをお聞かせください。
澤田さん:職場で私が使用している部屋に傘立てがないため、部屋の入り口にある書類棚に傘を掛けていました。傘を書類棚に掛けるたびに、この部屋にどんな傘立てが合うか考えていました。しかし、あるとき傘を立てるのでなく、傘を掛けるモノや傘を置くモノを考え始めたのがこの製品をつくるきっかけです。
KONCENTスタッフ(以下K):日々の生活の中で、不便に感じていたことが発想の源だったのですね。傘をぎゅっとしているかたちは何ともかわいらしいです。
傘をポンっと置いても、裏側には滑り止めのシールがついているので、傘の重みで落ちることもなく安心して置けるようになっています。
Gyuttoのおすすめの使い方やポイントはありますか?
澤田さん:家の玄関だけでなく、いろいろな場所で使えると思います。例えば、職場では事務机に傘を引っ掛けているのを見かけますし、お店では支払い時にレジ前の壁に傘を立て掛けることもあります。 それらの場所にGyuttoがあると気持ちが少し晴れると思います。
K:貫入シリーズ(ブルー・グリーン・ピンク)は透明感のある釉薬で、焼きあがると一つ一つのヒビ模様が異なって良い味わいになっています。晴れの日のオフィスではペーパーウェイトとして使えたりもできそうです。
equaltoプロジェクトに関わったご感想をお聞かせください。
澤田さん:equaltoの商品を作って頂いている方は障がいをお持ちの方々です。そのため、障がいの特性に合わせた製造方法を考える必要がありました。同時に価格や仕上がりへの配慮も必要でした。それらを両立にするために、デザイン修正を何度かおこないましたが、最終的に商品化できたのは、施設の方々の努力が大きかったです。たくさん試作品を作り、最終的に早く綺麗に作れるようになりました。
今だから言えますが、1回目の試作を見た時は、商品化は難しいと思いました。
K:施設の方々も作りながら次はこうやってみようと積極的に色々なやり方で試行錯誤していましたね。
顔に表情をつけてみたり、釉薬を色々試してみたり、施設の方も楽しみながら取り組んでいました。
普段はどのようなお仕事をされていますか?
澤田さん:デザインや商品企画を経営学部の学生に教えています。最近は企業経営でもデザインは欠かせないためです。アッシュコンセプトさんがおこなっていることは、デザインだけでなく販売やPRなどの面でも参考になります。そのため、講義で話をさせて頂くこともあります。
K:ありがとうございます!!デザインとひとえに言っても、形をつくったり、機能を考えるだけではなく経営そのものもデザインだったりしますもんね。
最近凝っていることはなんですか?
澤田さん:ふるさと納税です。去年初めて、ゆかりのある市に納税したのですが、お礼品を見ると今まで知らなかった特産品がありました。そこから気になって他の市町村も見たのですが、日本にはよいモノが作られていると改めさせられました。ただ、流通やプロモーション等が上手くいってないとも感じます。
K:ふるさと納税!ゆかりのある市とは、どこですか?
澤田さん:秋田です。妻の実家で何度か訪れています。写真は秋田の焼き磯海苔とお米です。
前職の島根県産業技術センター時代に7年間島根に住んでいました。
そのため、島根県浜田市にもゆかりがあり納税し、魚を頂きました。
K:素敵ですね!!産地から直接もらうと、次は実際に足を運びに行ってみたいと感じそうですね。
自分を一言で表すと?
澤田さん:どこか京都人。普段地味ですが、新しいものに興味があったり。
休日の過ごし方は?お気に入りの場所などはありますか?
澤田さん:子供と過ごしてます。もっぱら、いろいろなことをする娘のアシスタントです。
K:楽しそうな写真ですね!工作をやったり、一緒に手を動かしていらっしゃるのですね。
ここから生まれるアイデアもありそうですね。
尊敬するデザイナーやアーティストはいますか?
澤田さん:デザイナーは沢山います。アーティストでは伊藤若冲、ヤノベケンジなどです。
若冲は、技量はもちろん、新しい試みに挑戦していく姿勢にも惹かれます。
ヤノベケンジさんは、こんなモノを実際に作ってしまうのかといった驚きと、内容の面白さが好きで、学生の頃から惹かれています。
今後の展開について教えてください。
澤田さん:equaltoの取組みはデザインでも社会貢献に携わっています。デザインにできることは他にもあり、デザインの効果や領域が広がっているように感じます。そんなデザインの可能性をとおして、自分にできることをひとつずつ関わっていければと思います。
K:そうですね。デザインをもっと色々な所で活用して、より良くしていきたいですね!
これから梅雨の時期、Gyuttoを玄関やオフィスに置いてもらえると嬉しいですね。
今回はインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。
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