石川県デザインセンターの志甫さんとの話からすべては始まった。
志甫さんはその昔、西武でバリバリ仕事をしていた人のようです。
とても地元につながり自然体で石川県の産業振興を行っている人でした。
「金沢が大好きなのです。なにか仕事ありませんか?」
「うん。考えておきますネ。」
そんなやり取りから、プロジェクトはスタートした。
そして出会ったのが、金沢で左官の会社を営む石動専務でした。
まずは地産地消 として、何かが生まれないでしょうか?
とプロジェクトは始動していきました。
その土地のデザイナーと、その土地の工場が手を結び何かを生んでいく・・・・
建物や工事現場に職人が出向き、現場仕事として、作り上げていく職人の手仕事。
雨の日は、仕事が出来なかったり、現場が無ければ職人の腕を使う日も無かったりと、ある意味安定の無い日々の連続である。それが左官仕事。
石動専務は、職人の手仕事を違う形で表現したく、「左官アート」と言う名の事業を色々な展示会やコンペと称して様々な方に知っていただくプロジェクトを行っていました。
フランスの展示会に出展し、それは、行動的に進めていました。
しかし、アートは所詮、それが素晴らしいと感じた人だけの世界の範囲で終わってしまいます。
もっと多くの人に左官の素晴らしさを表現し、使っていただき、共感・共鳴したいと思っていたのでした。
石川県のデザインセンターのプロジェクトに招聘頂き、地元の優れたデザイナーとのミーティングから生まれてくるアイデアに触発された石動専務は、誰も行っていない左官技術で作っていく生活用品に刺激を受け、これこそが自分が進めたいプロジェクトである、と確信したのでした。
「名児耶さん。会社でこのプロジェクトをきちんと新規事業として進めていきたい。力を貸してください。」
「石動専務、喜んで世界初のモノづくりをご一緒できたら最高の喜びです。しかし、作品と商品は違ってきます。職人が作っていては、作品としてアートは出来ても商品化は難しいのです。職人が作り方を考えて、工場として誰でも作れる流れや方を使った製造ラインなどを考えて、プライシングや利益計算からきちんとどうしたら商品になれるのか、試作をしながら計算を行い、きちんと話し合ってプロジェクトの成功に進めていきましょう。
何年考えても、行動が無くては夢だけで終わります。来年の6月の展示会で発表・発売を目指しましょう。」
プロジェクトは、進んでいきました。
地元のデザイナーが出してくれたアイデアは、素晴らしいのだが、加飾のものが多く、職人は喜ぶのだが、値段が高くなってしまい、1点もののアートの粋を抜けることが出来ない。もっと素朴だが、シンプルで素材の強みや良さを表現して機能的で使いやすいものを、産み出さなくてはならない。
悩んだ結果、designer砂口あやによる、シンプルで飽きこないベーシックラインからのデザインをスタートする判断をした。
まずは、
・装飾的で好き嫌いがうまれない、
・素材の良さのみをアピールできる、
・安価な手の出しやすく、素材のよさを知っていただける
デザインに決定した。
その後に、個性のあるデザインで範囲を広げていく流れにし、モニター調査も行い、素朴だが素材を活かしきる、商品群となった。
左官の仕事で土を固めただけの世界初の商品。焼き固めてないのでリサイクルも自然な形になっていきます。
子供のころ作った泥団子。そんな素朴なモノ作りが、21世紀のものづくりに回帰していくのではないでしょうか?
珪藻土の持つ、呼吸をする素材。まだまだ、ソノ素材が持つ特性から生まれる商品が生まれ続けるでしょう。
始まったばかりの世界初・・・・未来を夢見て進めてまいります。
温かい心で、応援していただけたら嬉しく思います。
writen by hide
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