+dの新作「ネコカップ」をデザインしたのは、立体造形家や雑貨コレクターとして幅広い活動をされている森井ユカさん。
今回は森井さんにネコカップの誕生秘話などお話を伺いました。
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ネコカップ誕生のきっかけ。
アッシュコンセプト代表 名児耶
(以下 名児耶):
ネコカップは、森井さんが試作を持って提案をしにきてくれたのが始まりでしたね。
はじめて見た時、その斬新さと発想の面白さにその場にいた全員が思わず笑ってしまった。
砂や土でネコをつくることができるっていうそれだけのものだけど、ビーチに行ってこれで遊んでいる人がいたら、一体何をしているんだろう!?って声をかけたくなっちゃう、人を惹きつける魅力がありますよね。
KONCENT STAFF
(以下 K ):
アイディアはいつ頃うまれたのでしょうか?
森井ユカさん (以下森井さん):
もう10年くらい前になりますが…とにかく本当にネコが好きで、何か仕事に繋げたいという一心で、ネコのニュースや動画だけを配信するネコだけの放送局をつくろうとクラウドファンディングを行なったことがあったんです。
残念ながら達成はできませんでしたが、その時にこの野望(ネコだけの放送局)は一度温存しておいて、まずは何かグッズやプロダクトからつくってみたいなと考えた時に、このネコカップのアイディアがふと思いついたんです。
提案時に見せていただいた写真。森井さんが試作品でつくったネコ。
ネコが世界を癒します。
K:
10年以上も前から考えられていたんですね!
猫のプロダクトといっても様々なものが考えられると思いますが、なぜ “砂でネコをつくる” というところに辿りついたのでしょうか?
森井さん:
それはやっぱり…ネコを量産したかったからだと思います!(笑)
街を歩いていたり生活したりしている時に、ふと視界に猫が入って来た時の喜びが、私にとってはとても大切で。
姿が見えなかったり、本物のネコじゃなかったとしても、ネコのいる気配を感じられるだけで嬉しくなったり癒されることに気づいたんです。
K:
確かに!ネコと街中で出会うとそれだけで少し癒されたりしますよね。
森井さん:
そうなんです。
そこからだんだんと想像が膨らんで。
たとえば砂浜にこのネコのシルエットが沢山あることで人の心を癒すことができたら、争いごとだってなくなるかもしれないと考えたり…。
私だけではなくて、みなさんにとっても、世界が平和であるためにも必要なものなのではないかな、と。
ちょっと壮大な話のようにも聞こえるかと思いますが、ネコはそれだけ偉大な力があると思うんです。
そんな想いもあって、ネコのシルエットをたくさんつくるためにはどうしたら良いか…というところを考えて、このネコカップができました。
K:
立体造形家でありながら、世界を飛び回り沢山の景色をご覧になっている森井さんだからこそ生まれたプロダクトですね。それだけネコが大きな存在だというのも伝わってきます。
日本中、世界中を飛び回る森井さんの著書の一部。オランダで発行された「POECAの絵本」(写真下2冊)には森井さんが作った立体のキャラクターが。
ちなみに、ネコ好きの森井さんのご自宅にも愛猫がいるのでしょうか?
森井さん:
それが…好きすぎて飼えないんですよね…。
今は友人の猫を年に4〜5回、長い時は一ヶ月くらい預かっているんですけど、それが限界ですね。(笑)
家に猫がいる間は、生活の中心が猫になって仕事どころではなくなってしまうんです。(笑)
K:
なるほど!預かっている間は森井さんにとって特別な時間ですね。
家の中ではオブジェとして。
名児耶:
やさしい風合いに仕上がったことで、家にそのまま置いてあっても楽しいものになったんじゃないかと思います。
使わない時も玄関に飾ってくれたりすると嬉しいですよね。
森井さん:
実はネコカップを思いついた時は型をつくりたいという気持ちが先行していたので、オブジェとしての使い方は想定していませんでした。(笑)
でも、提案をした時に名児耶さんからそういった意見をいただいて、確かに置いておけるのは良いなと思ったんですよね。
K:
家の中でも、ネコのいる気配を感じられそうですね。
ちなみにネコカップには、竹を配合したバイオマスプラスチックという素材を使っています。
素材そのものの色を活かしたビオベージュ(写真)、黒ネコ・白ネコをイメージしたブラック・ホワイトの3色展開です。
こだわりのシルエット。
K:
ネコカップには顔やヒゲ、尻尾などをつけなかった理由や、こだわった部分などはありますか?
森井さん:
多少遠くにいるような、ふと視界に入る猫のシルエットを表現しているので、
あまり細かい造形にはせず、一瞬見てすぐに「あっネコだ!」と視認できる形であればいいと考えていました。
実際のネコを見ても、尻尾は体にくっついていたり毛に埋もれていて見えないことも多いので入れていません。
砂で作る時に、顔やヒゲ、模様などを描いたり、貝殻をつけたり、作る人によっていろいろなアレンジが楽しめるのもネコカップの面白さだと思うので、型はシンプルに仕上げました。
K:
そういった要素がなくても、寝そべっているシルエットだけで “ネコらしい” と感じられるのは、新しい発見かもしれません。
森井さん:
最初の段階では寝そべっているポーズと、座っているポーズを考えていました。
街中を歩いていてネコがいる時って、道路の真ん中に陣取っていて寝そべっているか、座っているかのどっちかなんですよね。
あのシルエットがたまらなく好きで!なので、作るならどちらかかなと思っていました。
寝そべっているタイプを試作して提案したので今はこの形ですが、作る過程でもし何か問題があれば違うポーズも検討していたかもしれません。
名児耶:
イメージしたネコの種類などはあったんでしょうか?
森井さん:
具体的な種類はありませんが…洋風の長毛種というよりは、街で見かけるような雑種の野良猫など、少し小柄な日本のネコの感じでしょうか。
実際のバランスからするとリアルではありませんが、私の中でのネコのイメージというか希望を具現化したような形ですね。
名児耶:
本物のネコよりも少し小さめのサイズになっているからか、デフォルメされている部分も素直に受け止められるのはネコカップの面白さですね。
森井さん:
サイズについてはもう少し大きいものも考えていたのですが、本物のネコサイズとなると倍近くなってしまうんですね。
大きくなるとその分入れる砂の量が増えて重くなるので、子供はまず作れないだろうな…ということと、綺麗に作ること自体が難しくなるので、まずは誰もが楽しく使えるサイズをつきつめました。
カップが抜きやすいように全体的に末広がりな形にしたり微妙な調整もしています。
よく見ると耳の部分も、綺麗にできるよう末広がりな形(円錐状)になっています。
K:
誰もが遊びやすいサイズになっているんですね。
森井さん:
あともうひとつ。物理的な話で、これくらいが一番旅行に持って行きやすいサイズなんです!(笑)
K:
なるほど!(笑) 森井さんのように様々な場所に連れて行ってほしいですね。
森井さん提案時の試作品の良さをそのまま活かすため、本製品もサイズはほとんど変わっていません。
ネコをつくってみよう!
K:
作る時のコツはあるのでしょうか?
森井さん:
砂はサラサラすぎず、程よく湿り気のあるものが一番良いと思います。
場所によって砂質も違うので2〜3回作ってみることでコツがわかってくると思います。
雪でも試してみたんですけど、前にスウェーデンで試した時は粉雪すぎてさらさらと落ちてきてしまってうまくいかなかったんですよね。こちらもやっぱり少し湿り気が必要みたいで、新潟県あたりじゃないとダメなのかなって…。(笑)
K:
ぼたん雪というか…。水分を少し含んでいるものが良さそうですね。(笑)
今回は室内遊び用の砂キネティックサンドを使って、実際に森井さんに作っていただきます。
森井さん:
最初に耳のところから、ギュギュッとしっかり詰めていきます。
そのあとは、押し固めるようにしながら満遍なく砂を入れていきます。
スコップのようなものを使うと早く作れておすすめです。
ネコカップをはずすと…
K:
おぉ〜〜!ひび割れひとつない綺麗なネコができあがりました!
この記事を読んでいるみなさまにも、ぜひ作っていただきたいですね!
森井さん:
そうですね!
実際に作ってみてほしいですね。
数はあるだけ楽しいので、作りはじめたらきっとやめられなくなりますよ!(笑)
K:
先日私も撮影のためにつくってみたのですが、作ってみてはじめてわかる楽しさと感動がありますね。
夢中で量産してしまいました!(笑)
K:
だんだんとアート作品を作っているかのような気持ちになってきたのも面白かったです。
森井さん:
整列させても良いですし、向きを変えてつくるといろいろとバリエーションが作れるのも楽しいと思います。
ベトナムでは試作を使って 一人で30〜50体を作りました。
人のいない時間に 人目のつかない場所で作っていたんですけど、それでも声をかけられたり、気づくと後ろに子供が並んでいたりしました。(笑)
K:
世界共通で人を惹きつけるプロダクトですね!
森井さん:
作っている間に会話が弾んだり、自然と周りの方とのコミュニケーションがうまれるのはネコカップのいいところだと思います。
SNSで作ったものを発信することで思いがけない広がりや、新しい繋がりができることもあると思うので、いろいろなコミュニティを広げてくれるプロダクトになれば嬉しいです。
名児耶:
これからお店に並んだ時のみなさんの反応がとても楽しみです。
K:
貴重なお話ありがとうございました!
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